聖夜を前に…
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 


     




 十二月といえば、何かと物要りな年の瀬だし、寒さも増す冬場だし。ただ年の差があるってだけじゃあなく、医者だのシェフだの警察官だのという、一般のサラリーマンではない“特殊”業務に就いているよな想い人を持つ彼女たちとしては。日頃以上に忙しい大人の皆さんを、無理言って困らせるなんて、我儘なお子様のすることと、そこいらは普通の同世代の娘さんたちより理解も深くって。なので、今年の“ラストイベント”になろう、クリスマスイブの晩は、仲良し限定の女子会を催す予定。久蔵のお家に集まって、ワイワイとケーキを焼いて、シェフ特製のチキンやオードブルといった御馳走食べて。後はそうねぇ、夜を徹してお喋りしましょうかという、何のことはない“パジャマパーティー”をやらかそうと決めたお嬢様たち。2週間も先のこととはいえ、ケーキは何にしましょうかという話題から、

 『……どうせなら、ケーキだけは余計に作りませんか?』

 実際に言葉にし、ぽそりと呟いたのは白百合さんだったけれど。大きめのムック本サイズのレシピ集を何冊も、あれこれ広げて眺めていた後の二人にしてみても。自分たちだけの好みを言えば、生クリーム系統になかなか絞れなんだのはどうしてか。せっかくの聖夜だからこそ、大好きな人と一緒に過ごしたい…なんてな我儘は言わないと決めたものの、何をしてたって ついつい想いを馳せてしまうんじゃないかしら。だったらいっそ……

  ―― そんな日も お忙しいお人たちなんだったら、
     いっそ アタシたちがサンタになるってのはいかがでしょう

 『そうですね♪』
 『…、…、…vv (頷、頷、頷)』

 ああ疲れたなんて、平日と変わらないほどお忙しいだろ一日の終わりに、

 『居所 突き止めて、サンタバニーがデリバリーってのはいかがです?』
 『あ、それいいかもvv』
 『………vv』

 こらこら、それはあかんやろ。
(笑) 冗談はともかく、だったらケーキも4つは焼かにゃあなりませんねと、何を焼くかへの検討に2日かけ。サンタバニーは冗談ながら、

 『サンタのマスコットつきストラップとか、おまけにつけませんか?』
 『え〜? わたしには無理ですよぉ。』
 『……♪ (お胸をポン。)』
 『ほら、久蔵殿が任せろとvv』

  代わりに作って下さるとか?
  〜〜〜〜〜。(否、否、否)
  手取り足取りで教えて下さるって。
  ………足ってのは何でしょか。
  揚げ足を取らない。
   …♪ (シチ、一本っ)

 なんていう、漫才みたいなやり取りののち。お買い物へと繰り出したのが、江戸は元禄の時代に、赤穂浪士の討ち入りがあった14日。ロシアンテイストを思わせる詰め襟デザインで、肩へはフードが垂れるインパネスコートに、スリムなパンツを合わせた紅ばらさんは、濃い色のコーデュネイトが、だが、綿毛のように軽やかなくせっ毛の金色や、肌の透けるような白を引き立てており。すらりとした御々脚を黒地のパギンスで なお引き締めて“魅せ”ておいでは白百合さんで。ひなげしさんは、お気に入りのポンチョ風コートの裾から、チェックのひだスカートの短いのがちらちらするのが、可愛らしいやらせくしぃなやらvv

 「ドラマでも映画でも、
  DVDやブルーレイが売り出されてる作品は、
  ブロードバンドで大概観られますから。」

 なので借りてく必要もないでしょねと、レンタルショップは素通りしたものの、お馴染みの繁華街であるQ街のショッピングモールのあちこちを、おもしろそうなアイテムはないかいなと、散策も兼ねてのウィンドウショッピングにと繰り出した彼女らで。コスメに雑貨にアクセにスィーツ。

  あ・これ新製品だ。
  可愛い可愛いvv
  あれ、これって絶版になってなかったっけ?

 飛び切り可愛らしい美少女たちのはしゃぎようには、人目を引いたその余波で商品への注意も集まる。よってお店の方々も、迷惑どころか“ウチへもどうぞ”と、お祈りする素振りが出るほどだとか。

 「西の外れの、ケータイのショップだったトコ、閉まってましたね。」
 「ええ。駅から遠いせいか、あんまり流行ってませんでしたものね。」
 「同系列。」
 「そうそう。モールの真ん中にA社とW社合同のが出来ましたしね。」
 「そっか、W社かぶりか。」

 終業式を兼ねた“クリスマス・ミサ”がある当日までは、いわゆる試験休みという身の三人娘。部活もあるにはあるけれど、時期も時期だということで、ウィンタースポーツ以外の部では、稽古納めや部室の掃除が主というところ。

 「弓道部は、通し矢に招待されてる顔触れが集中習練をするらしいですが。」
 「そうか、弓道ってウィンタースポーツだったのか。」
 「???」

  こらこらヘイさん。久蔵殿が混乱してますよ?
  あはは、ごめんなさいです

 …なんて、楽しげに語り合ってる彼女らが落ち着いたのは、此処も行きつけのカウンターカフェで。想い人への贈り物を作るんだという、なかなかに充実した目的のあるクリスマスとなったので。当初は“クリスマスなんてあ〜あだな”なんて思っていたのは何処のどなたか。今や、ふと話題が途切れても、ついつい見交わす視線が頬張り切れない笑みを口許へと招いての、あっさりあふれさせるほどの変わりよう。特に、白百合さんに至っては、

 「今の勘兵衛様が甘いものもお好きでよかったなぁ。」

 綺麗に手入れした指先でカウンターをピアノでも弾くようにはじきつつ、そんなお言いようをしみじみとこぼすものだから。

 「???」

 紅ばらさんが、マキアートを冷ます吐息をわざわざ止めてお顔を上げたほど。そんな注目に気がついてか、あらためて“あやや ///////”と赤くなりながらも、

 「うん、あのね?」

 何でどうしてと問うているお眸々だと判るから、そこへの補足をと、ほっこり微笑いつつもお口を開いた七郎次。

 「昔の勘兵衛様は辛党一辺倒で、
  息抜きだのにはお酒しか召し上がらなくってね。」

 甘いものはどちらかといや苦手。頂きものの饅頭なんぞ、育ち盛りが食べなさいと即ゆずってくださってたほどだったから。

 「もしもそのまんまだったら、
  こんな風にケーキとか焼いても、
  気持ちだけとか言って、食べては下さらなかっただろうなぁって。」

 お酒も飲みはするけれど、それだけって訳じゃないのが助かったと、白い手を胸元へ伏せておいでの白百合さん。ああそういえば、いつぞやにも、昔の自分だったら酒の肴くらいちゃっちゃと作れたのに…なんて、焦れったそうに こぼしておいでだったねと。ひなげしさん、それを思い出したか ほんわり微笑う。そして、

 「…ヒョーゴも。」

 それへと続くかのよに、紅ばらさんまでもが ぽつりとこぼしたものだから。何だなんだ、そっちはどうしたんだと、七郎次と平八が寡黙なお友達を窺うように覗き込めば、

 「甘いのも辛いのも好きだから…。//////」

 ご両親へと贈られたいいお酒、おすそ分けにと持って行くことがなくはなく。おおこれは良い酒だと喜んだ兵庫せんせえ。手際よくハムやチーズを炙ったり重ねたりして調理をし、そりゃあ美味しいオードブルをあっと言う間に作ってしまうのだとか。

 「酒のアテは難しい。」
 「ですよね。
  何が合うものなやら、どう作ったらいいのやら。」

 うんうんと頷いた平八も、実はそっちのレパートリは まだあんまり持ってはないのだとかで。

 「佃煮とか濃い味の和えものとか、
  いっそご飯のおかずになってしまいますもの。」

 やれやれですよと、彼女らのうちでは一番のお料理上手でも、そんなお言いようをするくらいだから。酒の肴、恐るべし強敵…というところを語る彼女らだったが、

 “…こうまでの綺麗どころがお顔を揃えてて その話題ってのもなぁ。”

 事情を知らなければ、主婦が亭主の好みを語ってるように聞こえんでもないなぁと。せっかくの綺羅らかな風貌に相応
(そぐ)わぬ種類の溜息へ、ついつい苦笑をこぼしそうになっているお人が約一名。そうとは知らず、彼女らなりに真摯な話題だったのへは、それでも一段落ついたのか。ややあって ここまでのお買い物の入った紙袋を見下ろして、

 バーゲンも早まったよねぇ。
 そうそう。昔はサ、年が明けてからだったのにね。
 売り尽くし…。
 そうでしたよねぇ、季節もののクリアランスでしたのにねぇ。
 でも今は、ボーナスを狙ってか、
 クリスマス商戦が進物だけじゃあ弱いのか、
 そっちへ前倒しされて久しいですよねぇ……などと、

 ちょっと待て。前世の話ならともかくも、何であんたらがそういう“昔”の話まで知っているのだ、と。これまた、こそりと聞き耳を立ててるお人には、吹き出したくなるのをこらえるのが大変な、語りようになってたり。

 「………で。
  ヘイさん、何か物騒なものを買ってませんでしたか?」

 ビーズを連ねて襟の形にしたネックレス、別名ティペットやら、今年の流行だというポーチつきバッグなど、今ドキの女子高生らしいものばかりをお買い上げかと思や。小さいころにご贔屓だったのを最近確認し合ったという、“しるばにあ・ふぁみりー”のキャラのミニチュアが、柄のところにぽちりとついてるマグカップをお揃いで買ってたりと。いかにも女の子というお買い物の中、実は…少々怪しいものへも手が伸びていた ひなげしさんだったらしく。

 「ああ、えっと…これですか?」

 両手で抱えてたカフェ・ラテのマグ、カウンターへことりと戻し。ショップのビタミンカラーの紙袋の中、隅っこへ同居させてた包みを持ち上げる。馴染みのブティックへと向かってた途中、ちょっと待ってて下さいなと金髪娘二人へ言い置いて、路地へ入ってった彼女が向かったのは、一応“玩具卸”という看板が出ていた店だったけれど。火気厳禁というシールが やたら張られた包みだってだけでも十分怪しいその上に、

 「それってもしかして、花火…じゃないんでしょ?」
 「ピンポ〜ンvv」

 人差し指をお顔のそばで立てて見せ、にっこり笑うよな お返事してて…いいんだろか、こういうの。
(う〜ん) そして、相変わらず過激なお人だとまでは思わなんだか、むしろ興味津々という態度、目顔で先を促す七郎次だったのへ、ほらと、包みの端っこを開けて二人へ見せてやる。ラメがかった蛍光色の粘土を丸めたような、ビー玉大の丸薬に、短いタコ糸がちょんとくっついた代物で、

 「これって…?」
 「…かんしゃく玉。」
 「久蔵殿、正解っ。」

 再びの“ぴんぽ〜ん”というお声が軽やかに上がり、そのまま“ふふん”と楽しそうに微笑ったひなげしさんだったのもそのはずで、

 「あのね、ゴロさんが、
  特殊警棒とかスリングショットとか、
  攻撃に使う“得物”の工夫をするよりも、護身具を工夫してはどうかって。」

 シチさんや久蔵殿は、昔の勘が戻って来ているその上、日頃からも剣道やらバレエやらに親しんでいて、いざという時、薙ぎ払いの体さばきもこなせるお人たちだが、

 『ヘイさんは、どちらかといや後方支援の人だったろうが。』

 軍刀の冴えも覚えてはおるが、今のその身では腕力もないに違いなく。変わった仕掛けのあるものを繰り出すか、不意を突いた攻勢でしか、騒ぎには参加しとらんと見た。

 「騒ぎに参加って…。////////」
 「〜〜〜〜。」

 好き好んで大騒ぎにして盛り上げてるような言い方ですよね、そりゃ…と。さすがに少々鼻白んでしまった、その伝で言えばコマンダー担当の二人へと、

 「だから、ですよ。」

 ゴロさんが言うには、シチさんや久蔵殿だって昔と違い、今は非力な身には違いないんだ、これまで無事だったから次も無事とは限らない。なので、いっそ攻撃に飛び出すような得物じゃあなくて、近寄らないでと撥ねのけるような護身具を工夫してはどうかのと。

 「こっちからついつい飛び込んでってしまいたくなる武器じゃなく、
  近寄らないでってぶつけるものだったら、
  万が一にも不具合から起動しなくとも、
  そのものを相手へぶつけるって手があるでしょう?」

 二人へ用意しているあれこれだって、いざ薙ぎ払おうとしたのに、伸ばすためにと振り払ってもシャキンとスライドしなかったらどうするね。そうなったら…既に相手の間合いに入ってるんだ、そんな危険なことはなかろって。

 「…………。(成程)」
 「一理ありますね、それ。」

 なので、火種要らずなかんしゃく玉をまずは工夫したんですが、その上にバリエーションつけて、煙幕とか出来ないかって工夫しているんですよと結んだ平八で。ただ、刺激臭や異臭がしても問題だし、単なる煙でも相手がパニック起こして盲滅法な攻勢に変わってはやはり問題なんで、煙よりカラーボールのほうがいいかなとか。鋭意検討中の一端を語った、元・工兵さん。相変わらずに色々と思いつきますねぇと、いかにも自信満面で頼もしいお友達へ、頑張ってねと笑い返しかけた七郎次だったのだが、

 「…でも、ちょっと待ってくださいな。」

 もしかしてそれって、勘兵衛様が 入れ知恵したんじゃないでしょうか。

  「はい?」 「?」

 唐突なご意見へ、キョトンとするばかりの紅ばらさんとひなげしさんへ。こちら様は打って変わって、どこか鹿爪らしいお顔になった白百合さん。先程の平八の真似っこのように人差し指を立てて見せ、ここ重要ですよと示しつつ、

  「だって、ゴロさんがそこまで遺漏のない物言いをするかしら。」
  「遺漏のない、物言い?」

 意味が図りかねたか、そのまま繰り返した平八へ、ええと大きく頷いてから。

 「それこそ、誰でもない自分が心配でしょうがないからだとか、
  あの響きのいいお声で情に訴えるだけで。
  ヘイさんなら素直に折れてくれるって、判ってるはずだと思うのよね。」

 言葉を尽くさぬ人だと言いたいんじゃない。周到すぎるのがらしくはないと、違和感を感じると言いたいらしい七郎次。…となると、

 「…シチさんだから判る感触でもありますか?」
 「困ったことに大ありなんでげすよ。」

 ホットココアに浮かべられた生クリームをストローでつつきつつ、はぁあと遣る瀬ない息をつき、

 「まま、勘兵衛様にしては、」

 理屈も、ゴロさんを介するってやり方も、さりげなくの遠回しに見えますが、何の何の…とかぶりを振って見せ。

 「思えば昔っから、人を操作するのが神憑りなほど上手かったお人ですからね。」

 全部が全部、意識しての策略だとは言いませんがね。頭ごなしに強く言うよりも、この人から言わせれば上手く運ぶとか、あの人から諭してもらった方が効果はあるとか。どうかすると、その人へこそ出したい指示を、別な部下Aへ伝えたいことなのだが、気性が激しい奴だからへそを曲げるやも知れぬ、いい手はないか…と相談する格好で、伝達するなんてな搦め手もお得意で。…と、そこまで言って、

 「そう、これも昔の話ですが、
  久蔵殿、
  七郎次を休ませて来いと指示を出されたこともあったでましょ?」

 「……………、…っ!」

 彼らが前世で 同じ刻・同じ場所で過ごした、小さな村を舞台にした合戦があって。戦闘準備の忙しさの中、たった7人の精鋭たちのうち、唯一の工部の専門家だった平八も不眠不休を案じられていたけれど、小器用だった七郎次もまた、人当たりがいいことも手伝ってか、いろんなところから引き合いがあってのアテにされ、なかなかまとめて休めてはない身であったため。引っ繰り返る前に、あやつを休ませたい。そこでだ、儂が直に言ってもひょろひょろはぐらかして聞くまいから、お主も一緒に休みたいと運べぬか?…なんて、

 「もしかして言われたことってありませんか?」
 「………ある。」
 「あれって、久蔵殿もなかなか小屋では休まなかったんで…、」
 「〜〜〜〜〜そうだったか。」

 そうか、あやつ、そんな搦め手を使ったか…と、今になって こぶしをぐうに握ってまでして憤慨している、とんでもないスパンの話へと、

 「…何でそこでお前まで笑っているのだ、結婚屋。」
 「えっ?」
 「あら。」

 お買い物途中のスタンドカフェの一角。街路へと向いた側は、壁が全面ガラス張りという、明るく開放感たっぷりのお店であり。よって、こそこそと姿を隠していたつもりはなかった彼らしいが、それでも、

 「な、なんで良親様が。」
 「お言葉だねぇ。」

 ソフトな印象も嫋やかな、端正なお顔に引き締まった上背と来て、今時に限らぬだろう“イケメン”カテゴリの風貌したお兄さん。年下のお嬢様3人を相手に、明るい昼間に徘徊してちゃいけないほど、そこまで怪しい存在じゃあないぞと苦笑混じりに言ってのけ。だが、今日も(結婚)式があったはずだと久蔵お嬢様が畳み掛けたが、

 「現場には僕なんかより仕切りの上手なスタッフが行ってるさね。」

 …と。言葉こそ少なくとも 結構鋭い久蔵の指摘を、厭味なくの軽やかにいなした彼こそは、某ブライダル有名チェーンの会長の跡取りにして、

  実は彼もまた転生人だと、お嬢さんたちへ伝えられたばかりの、
  ちょみっと怪しい行動派、丹羽良親さんという男性で。

 彼女らには、怪しいエージェントだというところまでは明かしてはなくて。お得意様からの依頼には出来る範囲で応じてるってところ…どまりの便利屋だとだけ伝えてあったので。今日の遭遇は本当に奇遇なそれだと断ってから、

 「でも、おシチちゃんの勘兵衛様への深読みには参ったね。」
 「あ、えっとぉ。//////」

 どれほど彼を知っているものか、だからこそ洞察出来たことだろう?との指摘を、そりゃあにこやかに突きつけられて。ハッとし、そのまま赤くなった七郎次とは逆に。平八と久蔵は顔を見合わせ合ってから、彼へと向かい、身を乗り出しており。

 「じゃあやっぱり、こういうことしかねない人なんですか?」
 「う…ん、まあね。」

 器用なんだか不器用なんだか…と、苦笑をこぼしただけの彼だったが。勘兵衛自身をこそ、立てたい護りたいと思う者まで煙に撒き、自分だけが貧乏くじを引くような、そういう意味で慕い甲斐のないお人でもあったこと。どうかすると七郎次以上に、その耳目で拾っていたのだろ良親であったようで。






 『…護衛役が要らぬ入れ知恵までしてどうする。』
 『おや。むしろ俺がついててラッキーだったと思っていただかなくては。』

 そも、勘兵衛様の入れ知恵じゃあないかってのは、おシチちゃんが自分で言い出したことですし、速攻で気がついたのはむしろ幸いです。

 『なんだと?』
 『ですから…。』

 勘兵衛様は煙に撒く側でばかりいらっしゃるから判らないのかもですが、こういうことはネ、早いめに気がついてしまえば“してやったり”で済みますが、遅れれば遅れるだけ すぐさま気がつけなんだ自分まで責めたくなる、何て迂闊かと落ち込んでしまうものなんですよと。元 上官にして、今は微妙に鬼門筋の警部補という精悍重厚な壮年殿へ、さらりとお説教を垂れた、元双璧の片割れさんだったそうで。


  今年のクリスマスはどうなることやら。
  色々あった1年でしたが、
  どうか皆様も息災で、
  大事な人を想っての、静かな聖夜を迎えられますように……。





   〜Fine〜 11.12.08.〜12.11.


  *前世のお話をからめた何か、唐突に書いてみたくなったんですが、
   肝心な逸話が、自分とこの神無村噺からというのが何ともはや…。

   随分な大所帯になって来た“女子高生シリーズ”ですが、
   どうかこれからも
   時々やんちゃな、けどけど多感なお嬢さんたちを
   どうかよろしくお願いしますね?


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